モンテッソーリ自然教室の活動報告!実際どんなことをしたの?
春休み特別企画「モンテッソーリ自然教室」活動報告!
先日、Child planet Montessori代表の杉えみこ先生と、Trecce代表(当サイト)の中澤が主催する春休み特別企画「モンテッソーリ自然教室」が行われました。
2歳半〜から6歳まで計14名の子ども達が集まり、モンテッソーリ教育を軸に自然の中で五感をふんだんに使って体験する旅となりました!
この記事では、イベントでは具体的にどのようなことをしたのかや、参加者様のご感想の一部などをご紹介します。
当日は、杉と中澤の他に、Miki Craft Montesssori代表で、AMI国際モンテッソーリ教師である三木ともこ先生も監修&教師として子ども達と過ごし、
さらに、星の専門家である「星空コーディネーター」の、りょう先生。
森のガイドとしてペンションすずらんのよしあき先生が子ども達をサポートしてくれました。
ロケーションは?
今回のイベントは、山梨県甲州市の森にある「ペンションすずらん」さんで行いました。
夏前から秋までのピークシーズンは、常に満室となっている、知る人ぞ知るペンションすずらん。山菜、釣り、昆虫、きのこ好きなお客さんがたくさん集まるアットホームな環境です。
国道から山道に入り、そこからどんどん上へ上へと車を走らせます。途中、「まだかな?」「この道で合ってるよね?」と心配になりながらも、20分ほど進むと赤い屋根が見えました!
煙突から、薪ストーブの煙がもくもく。四方が森に囲まれたペンションすずらんです。
ストーブ用の薪がずらりと並んでお出迎え。レストランの入り口には、何やら動物の頭蓋骨?!シカかな?!イノシシかな?!
中に入ると、気取らないペンションのスタッフさんが暖かい笑顔で迎えてくれます。
ハプニングを乗り越えて
交通渋滞のハプニング・・・!
当初、開始時刻は13時を予定していました。しかし、あいにく朝から高速道路で大渋滞が発生。参加者様の到着時刻が大幅に遅れるという連絡が相次ぎ、みんな無事に到着できるかな・・・と心配していました。
しかし、皆さんが安全に到着でき、誰1人として諦めずに遠い山の中までお越しいただけた事には安堵して、本当に感謝の気持ちでいっぱいでした。
ご参加いただき、本当にありがとうございます!
ある程度の人数がお揃いになるまで、お待たせしてしまった方には大変申し訳ございませんでした。ご理解とご協力に感謝しております。
私たちスタッフは、移動で疲れた子どもたちが到着後にリラックスして楽しめるように、急遽スケジュールを調整。無理のない内容に変更し、お迎えしました!
到着したお子さまの中には、今まで味わったことのないような山道で車酔いになってしまったお子さまもいましたね。しかし、到着後のキレイな空気を吸って、しばらくするとみんな笑顔になっていました。子どもの適応能力はすごいですね!
自然との触れ合い~Day1~
子どもが自分の興味のある活動に自主的に取り組めるよう、
いくつかの活動を準備しましたのでご紹介します。
はじめの「探索」は、自分がいる場所はどんなところなのかを知って安心して過ごすために、みんなが参加しました。
探索!
森のガイドは、ペンションすずらんのよしあき先生!森の植物や動物、昆虫のことなど、なんでも知り尽くしている頼もしい先生です。
到着したタイミングごとに2つのグループに別れて、ペンション周辺の環境を探索しました。
初めての場所では、まずこの場所がどんな所なのかを自分の足で歩いて、目で見て、触って、感じることで、安心して過ごすことができます。
「何があるの?」「これは何?」「行ってはいけない場所はどこ?」そんな会話をしながら探索スタート!
ペンションのすぐ脇にある白樺の木から、樹液を採取する方法を実際に見学しました。興味深そうに見ていましたね。木の中から滴る樹液は、大地の恵みと生命力の証です。
白樺の樹液って、どんな味がするのかな?翌日のお楽しみです!
また、ペンションの敷地内には普段見ることがない、炭を焼くための大きな釜や、熊を捕獲するための罠、蜂の巣箱、猪の毛皮!?などもあります。初めて見るものに、大人も子どもも興味深々でした。
その他にも、地面から顔を出す、つくしや、いちごの葉っぱなどを、しゃがみこんで観察したり、採取して胞子を飛ばしてみたり。ただ歩くだけでも、たくさんの発見をした子ども達でした。
木の素材を使った工作
木の枝や木の実を使い、木工用ボンドや絵の具を使って自由に工作をしました。
絵の具は子ども達に大人気で、思い思いの色や道具を使ってどんぐりに色を塗ったり、両手を絵の具でいっぱいに色つけたり、森で拾ってきた木の皮をお皿に見立てて盛り付けをするなどして楽しんでいました。
この活動は、何か作品を作り上げることが目的ではありません。目の前の体験に、夢中になって楽しむことが第一です。手についた絵の具の触感を楽しむ子もいれば、木の皮に筆を走らせる時の紙とは全く違う感覚を楽しむ姿がみられました。
種をまく
AMIモンテッソーリ教師であるともこ先生が、山梨県の八ヶ岳で自然採取した「クララ」と「コマツナギ」の種を準備して、子ども達に種のまき方を教えてくれました!
初めは、手が土で汚れることを嫌がっていたお子さんも、土って触ると気持ちいいな。ちょっとしっとりしていて気持ちいいな。と気がつくと触れるようになり、すっかり土の虜に。自分で種まきができました。
ビンゴカードとマップ
マップはなんと、この日のためによしあき先生が手書きで準備してくれました!
ペンション周辺のマップと、敷地内にあるものを9枚写真にまとめ、見つけたらシールを貼るようにビンゴカードを用意しました。
カードを見ながら、これはどこかな?なんていう名前かな?など会話を楽しみながら探してマッチングしたり、見つけた写真の下にある◯に同じサイズのシールを貼ることも、指先を使うことが大好きな年齢の子ども達にとって楽しい要素でした。
昆虫館
ペンションすずらんの昆虫館は、館長が世界中から集めた標本がずらり。
大人が見ても、とても珍しく初めて見るような昆虫の標本がたくさんあります。昆虫好きにはたまらないようです。今回の参加者様ではありませんが、何時間もこの場で観察したりスケッチをするお子さんもいるそうです。
こちらも、9枚の写真を並べてビンゴカードにしました。みんないくつ見つけられたかな?
花を活ける
ペンション周辺は、4月といえどもまだ花はほとんど咲いていません。そのため、いくつかの種類の花を当日の朝早くに自宅の庭から摘み用意しました。
通常の「花を活ける」活動の短縮バージョンでしたが、興味を持った子は自分が選んだ花を、自分が選んだ花瓶にさして窓辺に飾ってくれました。
空間が鮮やかに色づき、見た人の心を明るくしてくれたことでしょう。どうもありがとう。
コーヒー豆をひく
子どもに大人気のお仕事です。提供をじっくり見て、繰り返し活動する姿が見られました。ひきたてコーヒーは、お父さんお母さんにプレゼント!
その他
・絵カード(春の花・雲・蝶)
・神経衰弱カード(どんぐりの種類・山梨のフルーツ)
・図鑑などの本や本を読むスペース
・お茶を飲むコーナー
など。
子ども達は、自分がやりたい事を見つけ自主的に取り組んだり、周りのお友達の様子を観察するなどして過ごしました。
汚れても良い。転んでも良い。お友達やきょうだいに「貸して」あげられなくても良いのです。今、目の前の「やりたい!」に夢中で取り組んで、集中して、試行錯誤して、手を動かして、自分自身を満足させてあげることが、何より大事なことだからです。
子ども達は、自然と触れ合って伸び伸びと過ごしていました!
星のお話と星座ブック~Day1~
夕方〜夜にかけては、星空タイム。
ガイドは星空コーディネーターのりょう先生。山梨県内で星空のイベント等を開催し、多くの方に星空を見上げるきっかけを届けています。
今回のイベントのために、特別に星座ブックをオリジナルで考案してくれました!
星のお話
星ってどこにあるの?星と星をつなぐと何に見えるかな?りょう先生の問いかけに、「リボンに見えるよ!」「道みたい!」と、子ども達の想像力豊かな発見がたくさん聞こえてきました。大きなスクリーンを見ながら聞くお話にも、みんな興味津々!
星座ブック作成
りょう先生オリジナル星座ブックをみんなで制作。
今回は、子どもでも見つけやすい「オリオン座」と「北斗七星」です。星形のシール貼りに、とても真剣に取り組む姿が見られました。自分の名前も書いて、世界で一つ、自分だけの星座ブックが完成!子ども達、とっても嬉しそう!
星空観察
夕食の後、暗くなった大広間で、スクリーンに映し出される映像を見ながら星座のお話を聞きました。みんなリラックスモード。
その後みんなで外に出て、月と星空の観察。
みんなが制作した星座ブックのシールは、蓄光シールになっているので夜の中で綺麗に光っていました。自分の星座ブックを見ながら、実際の夜空で同じ星座が見つけられたかな?
雨の予報でしたが、みんなの想いが空に届き、月と星座を見ることができました。子ども達が初めて覗いた望遠鏡。月のクレーターまでよく観えましたね。
焚き火とマシュマロ
そして最後に、焚き火と、木の枝に刺したマシュマロを焼いて食べました!
もっと食べたい!と言う子ども達。特別美味しかったのではないでしょうか?
火は「危ない」だけではありません。昔から人間の生活には欠かせないものでした。普段の生活なら簡単に火をつけられますし、電気で温まることができます。しかし自然の中では、よく乾いた木材と、酸素と火の元があって、はじめて燃え上がるのです。
燃えるからと言ってなんでも投げ入れてはいけません。例えば、種が付いている植物は鳥の餌になったり、新たな新芽の元になるので無闇に燃やさないようにします。また、石や燃えないものなどを投げ入れた場合、危険を伴うのでやめさせます。
こうやって火の近くに集まると、暖かさに感謝するとともに、色々なことを先生や周りの大人と会話をしながら覚えていきます。これも大事な経験です。
夜に外に出て星を見上げたり、焚き火をするという、普段味わえない経験ができました。
朝から森へ出発!~Day2~
朝食後、さっそく近くの森に出発!
予定では、朝食の後10時までは自由時間でした。しかし、前日のスタート時間の変更や、子ども達の「もっと遊びたい!」という様子から、急遽朝から森に行くことを決定。朝食後の9:00から森に出発しました!
白樺の樹液の試飲!
昨日採取した白樺の樹液を、森の中でみんなで試飲しました。
白樺の樹液は、キシリトール成分が含まれます。キシリトールでお腹が弱くなる方は、ほんのひとなめ程度にしましょう。
さて!お味は・・・?どんな味・・・?何色・・・?香りは・・・????
大人も子どもも初体験でした。思っていた味と違ったかな?
「樹液」というとメープルシロップのようにトロリとして甘ーいものを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?(私もそうでした。)
実際は・・・・・・・・・
気になる方は、是非とも体験してみてください!(なかなか出来ないですが・・・)
メープルシロップも、あのトロトロの状態になるまでには様々な過程があるのです。
美容や健康のためにも良い樹液だそうですが、これも大地の恵です。その恵みを知るために、白樺の樹液を頂戴したのですから、白樺さん、ありがとうございました。
丸太の上を歩く!
横たわった大きな丸太の上を歩きだした子ども達。
子どもが、線の上を歩いたり、田んぼなどのへりや石畳、床の模様などに沿って、はみ出さないように、落ちないように歩くという行動は、世界共通です!それは、子どもがバランス感覚を獲得するために必要な行動だからです。自分の体を思うようにコントロールできるこは、基本的な自立で、生きるためにとても重要なことですね。
私も歩いてみましたが、丸太の上を歩くのは意外とむずかしかったです!子ども達は、何度も繰り返しとても集中して歩いていましたね。
スムーズに進めなくて後ろにお友達が待っていても焦ることはありません。難しいということは、体験している子ども達がよくわかっています。前の人とちょうど良い感覚を開けながらお互いを尊重することで、自然と社会性が育っていきます。
観察!発見!
双眼鏡で木の枝の、上の方に何かを発見した様子。
「あれはなんだろう?」「双眼鏡で見てみよう!」「どれどれ?」「ほらあそこ・・・!」「よしあき先生に聞いてみよう!」
そんな会話をしながら、順番に双眼鏡を除きました。双眼鏡は「遠くのものを見る」という目的のために使っている子もいれば、「景色が大きく見える!」「双眼鏡を首から下げて覗く!」そのこと自体を楽しんでいる子もいます。狙った遠くの何かが見えなくても、逆から覗いても関係ないのです!たくさん「覗いて」楽しんでいましたね。何が見えたのかな?
年齢(発達段階)によって、同じ物でも目的が違っているので、面白いですね!
丸太の下から虫を発見したり、キノコを見つけた子もいました!
「なんていう名前だろう?」「点は何個ある?」「見て!きのこ見つけたよ!」「触っても大丈夫か、よしあき先生に聞いてみる!」
一つ一つの発見に、子ども達はとても嬉しそうで、どこか誇らしげでした。
自由に活動!
森の中は特別なものは何も用意していなくても、楽しい遊びや発見、興味の種が盛りだくさん。大きな木の枝を集めて建築家になったり、大きな切り株の皮を剥がしてみたり。
時には、座ってゆっくり休むことだってします。ふかふかの土の上。木漏れ日。とっても気持ちいいね!
「まだ帰りたくない!」そんな声も聞こえ、すっかり自然と友達になった子ども達でした。
感想
最後に、大人も子どももみんなで輪になって自分が発見したことや楽しかったことなど、感想を発表していただきました。
自主的に発言したい子もいれば、したくない子、整理して言葉にできない子だって当然います。それで良いと私たちは思います。例え言葉にしなくても、子どもの中にたくさんの感覚が吸収されたことは間違いありません。その感覚こそ、将来大人になるための人間を建設する土台となっていくからです。
終了後のアンケートでは、多くのご家庭から貴重なご意見と感想をいただきましたので、その一部をご紹介させていただきます。
モンテッソーリ教育と自然体験とのつながりについて、感じたことがあればお聞かせください。
- モンテッソーリ教育と自然体験は繋がっていることを知ることができた。
- 自然の中で子どもが遊びを作っていく様子が見られて素晴らしいと感じた。
- 自然の中で五感を使うことが、モンテッソーリ教育の土台と繋がっていると感じた。
- モンテッソーリ教育の素材が自然の物であることを感じた。
- 自然の中で自然とともに生きることを体験でき、生命についても興味を持つヒントがたくさん散りばめられていると感じた。
- 自由な遊びを通じて自己選択の機会にもたくさん恵まれたような気がした。
- 自然の中には五感を刺激するものがたくさんあるため、環境を作らなくても十分に楽しめる。
- 子どもが自然の中で五感を使い、それを吸収する力に驚いた。
- 「Let the child lead the way」
お子様の様子で、どのような姿を発見できましたか?
- 森の中で行った、ベルを持っての線上歩行を真剣にやっていた。
- 同世代の子達とすずらんでのお泊まり体験が出来たことがとても楽しそうだった。
- 望遠鏡をのぞいた時や星空ブックを作ったときに好奇心に溢れ楽しんでいる姿が見られた。
- 星空ブックを作ったことが楽しかった。
- 自然の中で過ごすことを楽しんで、虫を探したり、鳥の巣を探したりしていた。
- 毛糸を使用したお仕事にも集中して取り組んでいる姿が見られた。
- 白樺の樹液を「虫の味がしそう」と言っていて、人は食べたものでできているという話を聞いた経験があるのかもしれない。
- 多くの経験や知識を身につけていると成長を感じた。
- 人見知りや場所見知りがあるが、先生方が興味を持ってくださり、心を開いていく様子が見られた。
- 自分で判断し、親のそばから離れて自立した行動が見られた。
- ダメと言われることがなく、自然の中でののびのびとした過ごし方をしていた。
- いつもより活発になり、取り組むまでの時間が短くなった。
- 丸太での線上歩行に取り組み、諦めずに挑戦する姿に感動した。
※アンケートの一部を抜粋させていただきました。ご協力ありがとうございます。
まとめ
今回、このような体験方イベントを通じて、自然の持つ不安定さや、またその美しさに触れていただきました。
たくさんの感覚体験によって得たものが、子どもが物事を理解したり、世界を知っていく上で重要な鍵となり、人間の土台となっていきます。
モンテッソーリ教育は、ただ教具を触って活動するだけではなく、日常生活や、自然の中でたくさん感覚を使って体験したことを整理しながら自分のものにし、生きる力を育んでいくものです。
活動中の大人の態度や声かけも、モンテッソーリ教育の重要な要素となります。山の中でただ自由にさせていては、危険なことがたくさんあります。子ども達の「自立」のため、また、「自由」というものを扱えるようになるために、明確な制限(ルール)を示して、周辺を観察する十分な時間を確保しなければなりません。そして大人は子どもに答えを教えるのではなく、ガイドする役割です。
自然はいつでもどっしりと構え、その季節折々の地球の変化を見せてくれます。昨日と同じものは何一つなく、常に動いています。それは子どもの成長も同じです。毎日のちょっとした変化は見落としてしまいますが、ゆっくりと季節が変わっていつの間にか景色が変化しているように、子どもは休む間もなく動き続け、確実に成長しています。
私たちはモンテソーリ教育を軸に、自然と触れ合いながら子どもが成長できる機会を今後も企画し、子どもが自分らしく伸び伸びと生きていくための援助を目指していきます。
ご参加いただいた皆様、心より、ありがとうございます。
今後の「モンテッソーリ自然教室」は、ブログ、Instagramなどで公開・募集をいたしますので、ご興味のある方はぜひチェックしてください!
また、イベントにご協力いただける施設様・団体様等も募集しております。
お気軽にお問い合わせください。
杉えみこ先生が運営するChild planet Montessoriはこちら。
三木ともこ先生が手がけるモンテッソーリ教具Miki Craft Montesssoriはこちら。
今回イベントの舞台となったペンションすずらんさんはこちら。
関連記事