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「敏感期」とは?6歳までの特別な時期。イヤイヤ期も怖くない!

nakazawayuki

モンテッソーリ教育に興味がある方なら「敏感期」という単語を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

「敏感期」とは、6歳までの子どもだけが持つ特別な時期で、この時期はある特定の感受性が際立ち非常に敏感になります。
イヤイヤ期もこの敏感期の特徴で、ある一つのことにこだわり集中する時期のことです。

でも、「そもそも敏感期ってどんな状態なの?」
「うちの子は今、何の敏感期でどう対応したらいいの?」
と疑問をお持ちの方や、もう少し詳しく知りたいという方もいるのではないでしょうか。

そんな声にお答えするために、今回は敏感期の基本的なことについてお伝えします。

「敏感期」とは?

敏感期とは、0−6歳までの子どもに見られる特徴で、子どもが自分に必要な能力を得るためにあることにピンポイントで敏感になる時期のことを言います。

ある「特定」の感受性だけにスポットライトが当たったかのように、非常に敏感になる時期のため「敏感期」と呼ばれ、この時期は子どもが人格の基礎をつくる上でとても重要です。

ティッシュを箱からすべて取り出したり、棚にある物をすべて取り出したりするのも、この敏感期の影響です。

敏感期はいくつかの種類があり、それぞれ異なる時期や同時期に現れ、6歳までには完全に消えてなくなります。

そのため、その時期に子どもを理解して適切な援助を行うことで、親が子どもの行動を理解しイライラを減らすことで、その子らしく伸びていく能力を発揮することができます

 

敏感期の種類と時期

 

 敏感期は、子どもが自分で身につける能力と成長に密接に関係していて、現れる時期も異なります。

■敏感期の種類■期間
1.言語の敏感期胎児期〜6歳過ぎ(ピークは1歳半)
2.運動の洗練の敏感期10ヶ月〜4歳(ピークは2歳半)
3.秩序の敏感期10ヶ月〜3歳半(ピークは2歳半)
4.感覚の洗練の敏感期0歳〜4歳半(ピークは3歳)
5.社会性の敏感期2歳半〜5歳前半(ピークは4歳半)
6.小さいものへの敏感期1歳半〜2歳10ヶ月(ピークは2歳前)

敏感期にはどのような種類があり、またその時期はいつ頃なのか解説します。

1.言語の敏感期

  • 幼児期~6歳頃(ピークは1歳半)

まだ言葉を発せない頃から周囲の人の声(話す言葉)に敏感になり、徐々に聞くことから、話す、書く、読むことへと敏感性が変化します。この敏感期のおかげで子どもは努力せずとも自然に言語を身につけることができます。

乳幼児期は大人が話す口元をじっと見つめたり、2歳をすぎた頃から「これ何?」「なんで?」などの質問が増えたり、大人の話すことを真似たりします。

2.運動の洗練の敏感期

  • 10ヵ月~4歳(ピークは2歳半)

走ったりジャンプするなどの大きな動きと、指先の細かい動きや力加減などの制度を高めていきます。繰り返し練習することで自分の体をコントロールしてさまざまな動きができるようになっていきます。

田んぼのへりなどをバランスを取りながら歩いたり、ちょっとした段差を登って飛び降りるなどのダイナミックな動きや、慎重にコップに水をそそいだり、小さなビーズに紐を通すなど細かい動きにも集中します。

3.秩序の敏感期

  • 10ヵ月~3歳半(ピークは2歳半)

物事の順序や関係性などを観察して、身の回りのあらゆる事を知ろうとします。予測できる状況やすでに知っている人・場所は子どもにとって安心できる一方、いつもと違う順番で朝の支度をしたり、いつもと違う道を通ったり、家族以外の人が自分の家にきた時など、混乱して取り乱し、駄々やイヤイヤ期と言われる状態として現れます。特にこの時期は、「いつもと同じ」という事に非常に強いこだわりが現れます。

4.感覚の洗練の敏感期

  • 0歳~4歳半(ピークは3歳)

より正確に物の特徴などを知るために、視覚・触覚・聴覚・嗅覚・味覚を使って、周囲のものを実際に触って理解します。大きさや色のちょっとした違いや同一性によく気がつきます。

赤ちゃんの頃は口の中の感覚が敏感なため、なんでも口に入れて確認します。水の感覚を確かめたい時期があり、水道、水たまり、小川など水のある場所で立ち止まり触ろうとします。

5.社会性の敏感期

  • 2歳半~5歳前半(ピークは4歳半)

言語や挨拶、習慣、文化などに興味を持ち、自分も積極的に挨拶をしたり、順番を待てるようになるなど、周囲と協力することができるようになっていきます。人間関係などもよく見ていて、その関係性を吸収しています。

6.小さいものへの敏感期

  • 1歳半〜2歳10ヶ月(ピークは2歳前)

ダンゴムシやアリ、石ころなど、とても小さなものをよく観察します。

環境を知ろうとしています。

敏感期についてもっと詳しく知りたい方は、それぞれの敏感期の特徴をまとめた記事をご覧ください。

 

敏感期を知る3つのメリット

大人が敏感期について知ることは以下のようなメリットがあります。

・その子の能力を引き出すサポートができる
・親のイライラを軽減できる
・親子の信頼関係を築ける

1つずつ詳しく解説していきます。

メリット1:その子の能力を引き出すサポートができる

敏感期の子どもがなぜ今その行動をするのかを理解すると、その子が本来発揮すべき能力を引き出すサポートができ、健やかな発達を見守ることができます。

子どもが口に物を入れようとしたり、フタがついたものを開けたがったりするのにも理由があるとわかれば、親が子どもに「だめ」と言ってしまう回数を減らすことができます。一回でも「だめ」の言葉が減れば、親子が笑顔でいる時間も倍増します。

時間や気持ちにゆとりがある時であれば子どもに納得のいくまでやらせてあげることができ、結果的にその子の能力を最大限に引き出すサポートができます。

メリット2:イヤイヤ期の親のイライラを軽減できる

敏感期の子どもの様子は、大人から見たら理解できないことがたくさんあります。

そのため、子どもの行動にイライラして怒ったり、取り上げて強制的に終了させたりしてしまいがちです。

子どもは、何がなんでも敏感期にその能力を獲得したくて必死なので、些細なことでも駄々となって大騒ぎになることもあり、大人も悩み、疲れてしまいますよね。

敏感期の子どもの心理を理解しておくことで、親の方もイライラする頻度を軽減させることができます。

メリット3:親子の信頼関係を築ける

子どもの敏感期とその時期に必要な関わり方を知ることは、子どもの発達のためだけでなく、大人が子どもと前向きに関わるためにとても良い効果があります。

子どもは子どもなりに必死になって能力を獲得しようとしています。親から頭ごなしに怒られてしまうより、一緒になって応援し認めてくれる方が子どもにとっても安心して成長できるため、親子の信頼関係が強くなります。

敏感期の主な特徴3つ

どの種類の敏感期の子どもにも、以下の3つの特徴が現れます。

・強い興味と深い集中
・邪魔に対する強い抵抗
・同じことを繰り返す

以下で一つずつ解説していきます。

特徴1:強い興味と深い集中

敏感期の子どもは、一つのことに強い興味を示し、非常にこだわりが強くなるという特徴があります。たとえば突然、子どもが静かになったなと思ってふと見ると、ティッシュを箱から全部だしていたり、棚の扉を全部開けて物をすべてだしていたりなんて経験はありませんか?親にしてみたら、すぐにやめさせたい行動ですよね。

でもこれは、指の運動機能が発達していろいろな物を取り出してみたい、という強い興味を示している状態なのです。敏感期を知らないと、いたずらをしているようにしか見えない光景ですが、これは敏感期の子どもの特徴です。

「ダメ」と叱ったり、逆に子どもが集中している時に「すごいね!」と褒めたり話しかけることで、子どもの集中が途切れてしまうことも。できる限り行動を見守り、子どもの興味と集中をのばしてあげるサポートをしましょう。

■大人が意識するべきこと
・行動を見守る
・注意しすぎない
・褒めすぎない

特徴2:邪魔に対する強い抵抗

敏感期の子どもは、邪魔されると強く抵抗します。イヤイヤ期は、満たされない欲求が爆発してかんしゃくを起こしたり泣きわめいたりする状態です。

たとえば、子どもが自分でコップに水を注ごうとした時、大人が、まだこの子にはできないだろうと取り上げてやってしまうと「自分でやりたかった!」と泣きわめいたり、夢中になって遊んでいた子どもが帰り際に「もっとやりたい!」と大泣きしている姿を見たことがないでしょうか?あの行動も、邪魔に対する強い抵抗の現れなのです。

時と場合にもより難しいこともありますが、大人が邪魔しないためには、子どもが自分で扱えるサイズのものを用意したり、手の届くところに置いてあげるなど自分でできる環境を作ってあげるのが良いでしょう。

そしてできる限り子どもの行動を見守り、欲求が満たされるまで待ってあげるのが理想です。ただし、危険なことは別です。危険を回避するために大人が手を出すことが必要なこともあります。そのバランスを取ることを心がけましょう。

■大人が意識するべきこと
指摘しすぎない
助けすぎない(危険は先に回避する)
子どもを待つ

特徴3:同じことを繰り返す

敏感期の子どもは、興味を示した事を繰り返し行います。疲れたり飽きる様子も見せず繰り返し、その上達の早さは目を見張るものがあります。

たとえば、毎日同じ絵本を選んであっという間に暗記したり、電車や恐竜の図鑑を繰り返し見て、大人顔負けの博士になることも。文字を書くことを覚え始めた子どもは、お風呂の鏡や砂の上などいろいろな場所に文字をたくさん書いて覚えます。また、洋服のボタンやリボン結びなど細かい動きも繰り返し行い、上達していきます。

モンテッソーリ園でも、敏感期にピッタリ応えられる教具で活動する子どもは、周りの声も気にせず集中して何度も繰り返します。そして、やり終えた子どもは満足して目が輝いているのも特徴です。

大人は「またそれをやるの?」と思うかもしれませんが、できるだけ子どもが興味のあることを満足するまでやりきれるように、時間に余裕を持つことも大切です。

■大人が意識するべきこと
途中で止めない
時間に余裕を持つ

【まとめ】敏感期を知るとイヤイヤ期も怖くない

子どもは、好奇心のかたまりです

毎日、毎日、今日はどんな楽しいことがあるのか、どんな発見があるのか、とワクワクしています。

「今」この時しかない大切な敏感期を見逃して、子どもにイライラして振り回されてしまうなんてもったいないとは思いませんか?敏感期のこの魔法のような時間は期間限定です。魔法が消えてしまう時が必ず来ます。

私たち大人の役割は、今しかない敏感期を見逃さずに、できるだけ「自分で成長しようとする力」を援助することです。

難しいことではありません。まずは、子どもが何に興味があるのかを観察してみてください。


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中澤有希
中澤有希
株式会社Trecce代表
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