モンテッソーリ

秩序の敏感期とは?いつまで続く?イヤイヤ期との関係や大人の対応!

nakazawayuki

秩序の敏感期とは、子どもが身の回りの事について理解するために、「秩序=いつも同じ」に非常に強いこだわりを見せる時期があります。イヤイヤ期や駄々と言われる状態が強く現れる時期でもあります。

「その時期の子どもは一体どんな様子なの?」
「大人はどのような対応をしたら良いの?」


そんな声にお答えするために、秩序の敏感期について、わかりやすくご説明します。

「敏感期とは何か?」について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

「秩序の敏感期」とは?

「秩序」とは、物事の正しい順番や位置、パターンなどがいつも同じ状態に整っていることです。子どもが身の回りの物事を理解するために、秩序に非常に強いこだわりを見せるのが秩序の敏感期です。

たとえば、朝の支度の時、支度の順番がいつもと違ったりお母さんがいつもより急いでいる時など、子どもが不機嫌になり着替えてくれないことはありませんか?新年度にクラスの場所や担任の先生が変わった時、「行きたくない」と渋ることはありませんか?

これらは、行動パターンや場所がいつもと違うことで落ち着かなくなっているからです。

また、いつもお母さんが座る椅子にお父さんが座ることを嫌がるなど、「これは誰のもの」や「これはこの場所に置くもの」などにも、非常にこだわるのが特徴です。

<いつもと同じことにこだわりを見せる>

  • 生活リズムや行動パターン
  • 会話
  • 場所
  • 位置
  • 人間関係
  • 大人の態度
    など

生活の全てにおいて身の回りを観察して、「これはここにあるもの」「これはこういうものだ」「こういう時はこうする」と理解を深めて、世界を知ろうとしているのです。


「秩序が整っている」=「いつもと同じ」ということは、子どもが安心して生活できるとても大きな要因です。

そのため、いつもと同じではない行動パターンや、知らない場所、予測していたことと違う事が起こった場合、不安と混乱状態となり落ち着かなくなります。

大人が気が付かないような些細な「いつもと違う」ことで思わぬカンシャクになって、泣いて「駄々」や「イヤイヤ期」という状態となって現れます。

秩序の敏感期が現れる時期

10ヶ月〜3歳半頃まで続く

秩序の敏感期は10ヶ月〜3歳半頃まで続く敏感期です。

全身の感覚を使ってよく周囲のものごとを観察します。動き回るようになる10ヶ月ごろから、何がどこにあり、それぞれがどんな時に使って、何の役割があるのかなどを把握し始めます。

ものごとの秩序はもちろん、一番長い時間一緒にいる家族、そして祖父母や保育士などとの関わりによって人間関係の秩序にも安心と信頼を覚えます。

ピークは2歳半頃

秩序の敏感期のピークは2歳半頃になります。

秩序へのこだわりが最も強く現れます。周りの秩序を十分に観察している子どもは、知っている事やできることが増えて、「自分でやりたい!」という意欲が出てきます。

その時に、自分の知っている状況と違ったり、思うようにできなかったとき、「駄々」や「イヤイヤ期」と言われる状態になって現れます。大人は、そんな子どもへの対応に手を焼きますが、でも安心してください。それは成長の証。必ずこの時期には終わりがきます。

子どもの様子は?

敏感期の現れ方には個人差があります。どんなことに敏感に反応を見せるのか、子どものよくある様子を例にあげてお伝えします。

秩序へのこだわり

秩序の敏感期の子どもの、微笑ましい特徴的な行動をご紹介します

それは、「かくれんぼ」です。

2、3歳くらいの子どもは、毎回同じ場所に隠れます。他の子がどこに隠れているのかも全員が知っていて、毎回すぐさま同じ場所を探しあて大喜びすることを、何度も繰り返します。年長児や大人がなかなか見つけられないフリをしてあげても「ここだよー!」と知らせてきますよね。この時期の子どもにとって「見つからないこと」にはなんの意味も興味もないのです。

これは、秩序の敏感期の幼い子どもは、「予測できる行動」そのものを楽しんでいるからです。自分が知っていることの答え合わせを楽しんでいるのですね。


一方で、4歳児以降の子どもはどうやったら見つけられないか工夫し、息を潜めて隠れます。
秩序の敏感期をすぎると「予測できる行動」には魅力を感じず、「見つからないこと」を目的として楽しむように変化していきます。

さまざまなシーンで現れる秩序へのこだわり。

場所・位置
・置き場所の変化によく気がつき、元の場所に戻す。
・学年が上がりクラスが変わったら保育園に行きたがらない。
行動パターン
・朝の支度の順番がいつもと違ったら、不機嫌で支度を嫌がる。
・帰り道にいつもと違う道を通ったら、急に駄々をこねて泣きだす。
所有物
・お母さんの席にお父さんが座ると怒る。
・自分の物に他の子どもが触るだけで怒る。
人間関係
・知らない人に抱かれると強く反発する。
・母親が急いでいると子どもも不安定になる。

秩序を確認したい

自分がたっぷり観察して知っている秩序(仕組み)を、自分で確認したい時期です。行動を大人に妨げられるととても強く反発します。

仕組みの確認
・水道の蛇口をひねって水を出し、またひねって止めるを繰り返す。
・トイレの流すボタン(レバー)を押したい。
・玄関の鍵を開けたい。
・ドアや扉の開け閉めを繰り返す。


このような行動は、自分が理解している事を自分でやって確かめたいという意志があります。大人にとっては些細な事でも、子どもが「自分で確認したい」ということは大きな成長の証です。

秩序を確認(自分で体験)したかったのに大人にそのチャンスを奪われてしまった時、それは子どもにとって2度とないチャンスであったかのように、多くの場合泣いて駄々となって現れます。

そんな時期に大人はどのようなことを意識したら良いのでしょうか。

大人が心がける、3つのこと

「イヤイヤ期」と言われる状況の時、大人も本当に大変ですよね。でも、それは立派な成長の証!

子どもの不安をできるだけ取り除いて落ち着かせ、親子でハッピーに過ごすために、大人が心がけるべき3つのことをご紹介します。

1. 行動パターンを決める
2. 整理整頓する
3. チャンスを奪わない

一つずつ詳しく説明していきます。

1:行動パターンを決める

なるべくいつも同じ行動パターンにしましょう!

繰り返しになりますが、子どもは予測できると安心しますが、逆にいつもと違うパターンの場合、不機嫌やカンシャクを起こす原因になります。朝起きる時間や支度の順序などを統一することで、自立した行動にも繋がります。

お菓子コーナーやガチャガチャの機械の前で、駄々をこねて手に負えなくなっている子どもを見たことがありませんか?もしかしたら、過去にここに来た時は買ってくれたのに今日は「だめ」と言われたのかもしれません。子どもには大人の都合が理解できません。以前叶った願いと同じ願いが今日は叶わないということで、駄々となることはよくあります。

なるべくそうならないために、事前に「今日は靴下を買いにいくんだよ。だからおもちゃを買う日ではないんだ。」などと言葉で伝えておくと良いでしょう。

■ポイント!

・起きる時間、寝る時間を毎日同じ時間にする。
・支度や寝る前の順序をいつも同じようにする。
・ルール(約束)は前もって伝え、一貫する。

2:整理整頓する

家の中は、整理整頓を心がけましょう!

家具や小物はいつも定位置に置き、おもちゃ棚も整頓しておくようにすれば、予測して行動できるので自立を助けることになります。子どもはどこに何があるのか覚えて、落ち着いた行動や、自主的な片付けにも繋がります。本棚の並び順を驚くほど美しく並べ替えるなんていうことも。

私たち大人は、家の中で当たり前のように「これはここに置く」など場所を決めて、それを自然と理解して空間を使いこなしています。しかし、想像してみてください。それらがある日、別の場所に入れ替わっていたら?手が届かないような高い位置に置いてあったら?とっても落ち着かないですよね。

このように家の中の秩序が保たれていることは、心の安心にも繋がっています。

■ポイント!

・子どもが使う物は子どもの手が届く場所に置く。
・おもちゃはいつも同じ場所にしまう。
・「〇〇はここに置こうね。」などと事前に伝える。

3:チャンスを奪わない

子どもがすでに理解していて、できることを体験させてあげましょう!

子どもは自分が知っていることやできることを、何がなんでも自分でやってみたい!確かめたい!という強い意志があります。はじめは上手くできずに失敗しても、それは自立して生きていくために必要な行動で、自信や自己肯定感、次の挑戦に繋がる大切な行動です。

大人からしたら些細なことでも、子どもは自分でやりたかった事を親がやってしまった時や、間違いを訂正された時、急かされた時などに、ひどくカンシャクを起こすことがあります。

つい大人もイライラして「そんなこと言ったって、〜〜〜なんだから〜〜〜でしょう?!じゃあどうしたいのよ!?」と問い詰めたくなりますよね。


しかし子どもは自分の気持ちを説明することがむずくかしく、大人の理論的な言葉も届きません。

そんな時まずは「〇〇くんが自分でやりたかったんだね、ごめんね。」などと子どもの気持ちを代弁して、受け入れてあげて落ち着かせましょう。

■ポイント!

・子どもができることは大人が先回りしてやらない。
・子どもの失敗を訂正しない。
・成功体験を増やしてあげる。

【まとめ】秩序の敏感期を楽しもう!

秩序の敏感期は、10ヶ月頃から3歳半頃まで続く敏感期です。

周囲の物事や習慣、行動パターンなど全てを観察して、世界を理解するために
「秩序=いつもと同じ」ということに非常に強いこだわりを見せる時期です。

子どもが、世界の仕組みを理解しようとしているこの時期は、最も子育てが大変と言われる時期でもあります。でもそれはとても神秘的な成長の証です。

この時期に大人が心がけるべき3つのことを意識して、自立していく成長の過程を楽しんでください。


 関連記事

ABOUT ME
中澤有希
中澤有希
株式会社Trecce代表
記事URLをコピーしました